なぜいびきにトレーニングが有効なのか
いびき対策というと、マウスピースや口テープなどのグッズ、病院での治療を思い浮かべる方も多いかもしれません。
しかし、実は自宅でできるトレーニング(筋力トレーニング)でも、いびきの改善に大きな効果を発揮することがあります。
特に原因が「のどの筋力低下」である場合、適切な運動によっていびきを軽減・予防することが可能です。
いびきの主な原因は「筋力の低下」
いびきの多くは、睡眠中に気道(空気の通り道)が狭くなり、
そこに空気が通ることで粘膜が振動して「ガーガー」という音を立てることが原因です。
この気道の狭まりを引き起こす要因のひとつが、舌やのどまわりの筋力低下です。
特に以下の部位の筋肉が弱ると、いびきをかきやすくなります。
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舌(舌筋)
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軟口蓋(のどちんこのあたり)
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咽頭周囲の筋肉
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顎を支える筋肉
年齢とともに筋肉が衰えるのはもちろん、口呼吸のクセや運動不足でも筋力は落ちていきます。
寝ている間の気道を支える力をつけよう
起きているときは無意識に筋肉で気道が保たれていますが、睡眠中は筋肉が緩むため、
舌が喉側に落ち込んで気道をふさぎやすくなるのです。
そのため、いびき対策としては以下の2つが重要になります:
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筋肉の衰えを防ぐ・改善すること
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寝ている間も気道を確保できるように鍛えること
この考えに基づいた口腔・咽頭まわりの筋トレを取り入れることで、
器具や薬に頼らず、根本からいびきを改善できる可能性があります。
いびき改善に効果的なトレーニングメニュー
いびきを改善するには、舌・のど・口周りの筋肉をバランスよく鍛えることが重要です。
ここでは、専門家の推奨する自宅で簡単にできるトレーニングを5つ紹介します。
どれも道具不要で、1日10分ほどの継続で効果が期待できます。
舌・のど・口周りを鍛える5つの運動
① 舌を突き出して引っ込める運動
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舌をまっすぐ前に思いきり突き出し、5秒キープして戻す
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10回を1セット、1日2~3セット
→ 舌の筋力を鍛え、喉に落ち込むのを防止
② 舌の左右運動
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舌を左の口角→右の口角に交互に伸ばす
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できるだけ舌先を遠くに伸ばすよう意識
→ 舌筋・頬筋を鍛えることで口呼吸予防にも効果的
③ のどの「いーうー体操」
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「いー」「うー」と口の形を変える発声運動
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表情筋・口輪筋・のど周辺を広く刺激
→ 軟口蓋の引き締めと声帯まわりのトレーニングに有効
④ ペットボトル吸引トレーニング
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空の500mlペットボトルを口でくわえ、吸い込むようにしてへこませる
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吸って5秒キープしてゆっくり離す(10回)
→ 口周りと喉の吸引力アップ
⑤ 鼻呼吸強化の「鼻スンスン運動」
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鼻から強めに息を吸って吐くを10回繰り返す
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鼻づまりがある場合は耳鼻科で治療を並行
→ 鼻呼吸習慣の定着と口呼吸予防に有効
1日10分の習慣で改善効果が期待できる
これらの運動は、1つあたり1〜2分で終わる軽いメニューです。
すべて実践しても1日10分程度で完了するため、習慣化しやすく継続しやすいのが魅力です。
以下のようなタイミングで取り入れると、無理なく続けられます。
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入浴後のリラックスタイム
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就寝前の軽いストレッチと一緒に
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通勤中(舌の運動などは人前でなくてもできる)
継続することで、いびきの頻度や音量が明らかに軽減したという報告も多数あります。
特に「寝姿勢は気をつけているのに改善しない」「マウスピースが合わない」といった人におすすめです。
トレーニングの効果を高めるコツと注意点
いびき改善のためのトレーニングは、正しく継続することで効果を発揮します。
しかし、やり方を間違えたり、体質に合わない方法を続けたりすると、かえって逆効果やモチベーションの低下を招くことも。
ここでは、効果的にトレーニングを続けるためのコツと注意点をご紹介します。
継続のコツとやってはいけない注意点
✔ 継続のコツ
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毎日同じ時間帯に行う習慣化
→ 朝の洗顔後や夜の入浴後など、日常に組み込むのが効果的 -
無理のない範囲でスタート
→ 最初は1〜2種類から始め、徐々に数を増やすと負担が少ない -
記録をつけてモチベーション維持
→ スマホのメモや習慣化アプリを活用して「見える化」すると◎
✖ やってはいけない注意点
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痛みを我慢して続ける
→ 筋肉や関節に痛みを感じたら、すぐに中止すること -
短期間で効果を求めすぎる
→ いびき改善は“習慣と継続”がカギ。最低1ヶ月は継続を目安に -
口呼吸のままでトレーニングをしている
→ 意識的に鼻呼吸を取り入れ、呼吸の癖も一緒に改善を
トレーニングは医療行為ではありませんが、体の仕組みを正しく理解したうえで行うことが大切です。
こんな症状がある人は医師の相談も必要
以下のような症状がある場合は、自己判断せずに耳鼻咽喉科や睡眠専門外来での相談をおすすめします。
症状 | 考えられるリスク |
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息が止まるようないびき | 睡眠時無呼吸症候群の疑い |
朝の強い頭痛や倦怠感 | 酸素不足による睡眠障害 |
パートナーから「呼吸が止まっていた」と言われた | 無呼吸状態の可能性大 |
トレーニングをしても改善が見られない | 他の根本的原因の疑い |
特に「トレーニングでどうにもならない」「いびき以外にも健康不安がある」という方は、医師の診断を受けた上で併用する方が効果的です。
生活習慣と組み合わせて相乗効果を狙おう
いびきを改善するためのトレーニングは非常に有効ですが、それだけで劇的に効果が出るとは限りません。
トレーニングに加えて、生活習慣を見直すことで相乗効果が期待できます。
ここでは、いびきに関係する生活習慣と、その改善方法を紹介します。
寝姿勢や食生活の見直しも重要
寝ているときの姿勢や体重、食事の内容も、いびきに大きな影響を与えます。
とくに以下のような点を意識すると、トレーニングの効果が高まりやすくなります。
いびきの悪化を招く生活習慣例:
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仰向け寝(舌が落ちて気道をふさぐ)
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肥満気味(首回りに脂肪がつき気道が狭くなる)
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寝る直前の飲酒(筋肉が緩む)
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鼻づまりやアレルギーを放置
これらを改善するだけでも、いびきの頻度や音の大きさが変化することがあります。
いびき改善に役立つ習慣チェックリスト
いびきを本格的に対策したい方は、下記のチェックリストを使って、
ご自身の生活習慣を振り返ってみてください。
項目 | チェック | コメント |
---|---|---|
寝る姿勢は横向きが多い | □ | 仰向け寝を減らすと効果的 |
夕食は寝る2時間以上前に済ませる | □ | 胃の圧迫を防ぎ呼吸が楽に |
飲酒は控えめにしている | □ | 筋肉の弛緩を防ぐ |
日中に軽い運動や散歩をしている | □ | 代謝アップ&ストレス軽減 |
鼻づまりがあるときは治療している | □ | 鼻呼吸の維持に重要 |
睡眠時間は6〜8時間確保できている | □ | 睡眠の質の維持に不可欠 |
チェックが多いほど、トレーニングとの相乗効果が期待できる理想的な状態です。
もし3個以下しかチェックできない場合は、まず生活習慣の見直しから取り組んでみましょう。
まとめと参考記事
いびきの改善は、マウスピースや治療機器に頼るだけではなく、日々の習慣や筋肉の鍛え方によって自力でアプローチすることも可能です。
とくに舌・のど・口周りの筋力を鍛えることで、睡眠中の気道の確保がしやすくなり、いびきを抑える効果が期待できます。
今回紹介したトレーニングはどれも道具不要・短時間でできるメニューばかり。
続けることで、「いびきの音が小さくなった」「朝スッキリ起きられるようになった」など、体感できる変化が得られる可能性があります。
また、生活習慣との組み合わせによって、より根本的かつ持続的ないびき対策が実現可能です。
「いびきを治したいけれど、治療はまだちょっと…」という方は、ぜひ本記事で紹介したトレーニングを毎日の習慣に取り入れてみてください。
参考記事
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睡眠時無呼吸症候群といびきの関係|日本呼吸器学会
https://www.jrs.or.jp/modules/citizen/index.php?content_id=3 -
いびきを治すには?おすすめの舌・喉トレーニング|ナゾロジー
https://nazology.net/archives/130343 -
睡眠中の呼吸を改善するトレーニングとは|いびきメディカルクリニック
https://www.ibiki-medical.jp/training/ -
いびき改善には生活習慣も大切|e-ヘルスネット(厚生労働省)
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/heart/yk-035.html