いびき手術体験談:軟口蓋形成術(UPPP)でいびきを改善するには

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いびき手術体験談:軟口蓋形成術(UPPP)でいびきを改善するには

いびきに悩んで手術を検討する背景

就寝中の大きないびきに悩み、様々な対策を試したものの効果がなく、最終的に「手術」を検討する人もいます。

例えばある男性は、ノーズクリップマウスピース、鼻腔拡張スプレー、サプリメント、寝姿勢の工夫など手を尽くしましたが「どれも決定的な改善策にはならなかった」そうです。いびきが原因で同室の人の睡眠を妨げたり、家族から「一緒に寝たくない」とまで言われるケースもあり、こうした深刻な状況では外科的治療で根本解決を図りたいと考えるのは自然な流れでしょう。

一口にいびきの手術と言っても原因によって様々な術式があります。鼻の構造に問題がある場合は鼻中隔矯正術や鼻茸(ポリープ)切除など鼻の手術、舌が大きく喉を塞ぐ場合は舌や舌根に対する手術が検討されます。

中でも喉(咽頭)が狭いことによるいびきには、口蓋垂・軟口蓋(いわゆる「のどちんこ」とその上の柔らかい上顎部分)の手術が有効とされています。今回は喉の手術の代表例である軟口蓋形成術(UPPP)に焦点を当て、その概要やメリット・デメリット、費用、ダウンタイム、そして実際に手術を受けた人たちの体験談を紹介します。

軟口蓋形成術(UPPP)とはどんな手術か

軟口蓋形成術(Uvulopalatopharyngoplasty, UPPP)は、喉の奥にある垂れ下がった組織である口蓋垂(のどちんこ)の一部を切除し、垂れ下がった軟口蓋を引き締めて気道を広げる手術です。喉の空気の通り道を物理的に拡大し、睡眠中に喉が振動・閉塞しにくくすることで、いびき音の軽減や無呼吸の改善を図ります。

UPPPにはメスで切開する方法とレーザーを用いる方法(LAUP)があります。従来は全身麻酔下でメスによって余分な軟部組織を切除し、必要に応じて口蓋扁桃(扁桃腺)も摘出する外科手術が行われ、術後は約1週間の入院を要するケースが一般的でした。一方、近年普及しているレーザー口蓋垂軟口蓋形成術(LAUP)は、炭酸ガスレーザー等で軟口蓋や口蓋垂の粘膜を焼灼して切除・収縮させる方法で、出血が少なく患部の腫れや痛みを軽減できる点が特徴です。レーザー治療の場合、多くは局所麻酔の日帰り手術として行われ、施術時間も10〜30分程度と短時間で済みます。

レーザー治療は体への負担が小さく入院も不要なため、「忙しくて入院できない人にとって代替の手段」として注目されています。ただし一回の照射量に限度があるため、効果を十分得るには約1ヶ月おきに3〜5回程度繰り返すケースも多く、個人差はありますが3回程度の施術で効果は1〜3年持続するという報告があります。

また、口蓋垂を切除した後に縫合するかどうかも術式によって異なります。ある体験者によれば、医師から「海外では縫い止めないために2〜3回切る人もいる」と聞かされたそうです。日本の症例では一度の手術で再発防止のため口蓋垂の断端を縫い縮めるのが一般的で、「縫わないとトカゲの尻尾のようにまた生えてくるらしい」とのことでした。いずれにせよ、患者の喉の形状や症状に合わせて適切な方法が選択されます。

手術のメリット(期待できる効果)

いびき手術の最大のメリットは効果の高さと根本治療であることです。マウスピース装着や体位改善などの保存療法が「その場しのぎ」なのに対し、外科手術では狭くなっている気道そのものを広げるため、多くの場合でいびきの劇的な軽減・消失が期待できます。実際に手術を受けた人たちの声からも、その効果の大きさが伺えます。

ある35歳女性はレーザーによる軟口蓋手術と鼻粘膜の焼灼治療を日帰りで受けた結果、「術後は鼻呼吸がしやすくなり、旦那も私のいびきで目が覚めることがなくなった」と述べています。術前は毎晩ご主人が耳栓と防音ヘッドフォンを重ねても眠れず、ついには別の部屋で寝るほどの騒音だったのが、手術によって解消されたのです。

本人も「眠りが深くなり、朝もスムーズに起きられるようになった」と変化を実感しています。実際、別の男性患者は術前は睡眠中のいびきスコア(いびき音を測定するアプリの指標)が「平均の約5倍にも達する120~150」だったのが、術後は「最新の数値が3」まで激減し、客観的にもいびきがほぼ解消されたと報告しています。朝の目覚めが明らかに爽快になり「よく眠れていると実感できる」と述べており、睡眠の質向上による日中の集中力アップパートナーの睡眠環境改善といった効果も大きいことがわかります。

医学的にも、いびきや睡眠時無呼吸が改善すれば日中の眠気・倦怠感の軽減、記憶力や集中力の向上、高血圧・心疾患リスクの低減など様々な健康メリットが期待できます。

いびきの悩み自体が解消することはもちろん、「もっと早くやれば良かった」と感じる患者も多いようです。実際に先述の女性は、術後の経過が落ち着いた時点で「家族のためにも、どうせやるならもっと早くやれば良かった」と振り返っています。

手術のデメリット・リスク(痛みや合併症)

一方で、軟口蓋形成術には無視できないデメリットやリスクも存在します。最大の難点は術後の痛みと食事制限でしょう。喉の粘膜を切除・焼灼するわけですから、術後は強い咽頭痛がしばらく続き、食事や飲水に支障をきたします。レーザー手術は「メスを使う手術より痛みや腫れが軽減される」とはいえ、それでも術後1週間ほどはかなり辛い状態になるケースが報告されています。

実際、先述の女性は「術後は痛み止めを飲まないと食べ物が喉を通らない状態」で、2~3日はお粥などの流動食がやっとだったと述べています。術後しばらくは喉に強い違和感と激痛があるため、「あまりの痛さに少し後悔した」と語る人もいます。

別のブログ体験記では、38歳男性が術後経過を詳細に記録しています。それによると手術当日から激しい喉の痛みが始まり、術後2~3日目に痛みがピークに達したとのことです。この方は痛みを10段階評価で記録しており、術後3日目が痛みスコア最大の「10」、そこを境に徐々に和らいでいき、10日目に劇的に軽減したと報告しています。痛みで唾液を飲み込むことすらできず、口腔内が乾燥して舌や頬までじんじん痛む状態で、水を一滴飲むのにも激痛が走り動けなくなったそうです。

当然ながら食事はまともに摂れず、術後数日はお粥やゼリーなど最低限の流動食で過ごすしかありません。その結果、体重が手術前から約2kgも減少してしまい、「不健康すぎる痩せ方だ」と嘆いています。また、喉の術後痛に加えて耳の奥の痛みも現れることがあり、耳鼻咽喉科領域は神経が繋がっているためか「喉の痛みより耳の痛みの方がつらかった」とも述べられています。

このようにダウンタイム(回復までの時間)としては少なくとも1〜2週間は強い痛みと食事制限を覚悟する必要があります。特に最初の数日~1週間は日常生活に大きな支障が出るため、仕事や家事は休養できるよう調整したほうが良いでしょう。傷口が完全に塞がり腫れが引くまでには個人差がありますが、軽症例でも約1週間、長い場合は1ヶ月程度かかることもあります。

上記の男性は術後10日目を境に痛みが劇的に改善し、11日目には痛み止めを飲み忘れるほど回復したと記しています。いびきの改善効果も、術後すぐよりは腫れが引いた2週間以降に実感が高まるケースが多いようです。したがって、「喉元過ぎれば熱さを忘れる」と言いますが、少なくとも術後しばらくは相応の苦痛に耐える覚悟と準備が必要です。

さらに、軟口蓋形成術には効果に個人差がある点にも留意が必要です。手術で物理的な狭窄を取り除いても、いびきの原因が他にもある場合は十分な改善が得られないことがあります。例えば鼻づまり(アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎など)や肥満による舌根沈下があると、喉だけ治療してもいびきが継続する恐れがあります。

実際、ある専門医によれば「鼻の状態も評価しなければいびき治療の成功率に影響する」と指摘されており、鼻疾患の治療や減量など包括的な対策が必要なケースもあります。また、睡眠時無呼吸症候群(SAS)を合併する重症例ではUPPP単独では無呼吸の改善が不十分で、術後に逆に症状が悪化した例も報告されています。つまり、軟口蓋手術はあくまで「喉の空間拡大」に有効な手段ですが、万能ではありません。患者それぞれの原因に応じて適切な治療法を選択することが大切であり、手術適応の判断は専門医に委ねるべきでしょう。

手術費用と保険適用の目安

軟口蓋形成術を受けるにあたって気になるのが費用保険適用の有無です。結論から言えば、患者の症状の重さや医療機関によって費用は大きく異なります。睡眠時無呼吸症候群の治療として保険適用の範囲でUPPPを受ける場合、自己負担額(3割負担)で約3万円程度+入院費が目安とされています。

例えば扁桃肥大による重度の無呼吸症で耳鼻咽喉科の指示で手術する場合などは、保険診療で比較的安価に受けられる可能性があります。一方、単純ないびきで重症の無呼吸とは診断されない場合、一般の病院では手術適用にならないことも多く、その場合は自費診療のクリニックで治療を受けることになります。ある女性も「最寄りの病院では重度のSASでない限り治療できないと言われ、新宿の専門クリニックを紹介された」と述べています。

自費診療の場合の費用相場はクリニックによってまちまちです。先述の女性は紹介先のクリニックで検査〜手術〜術後ケアまで含めて約5万円(全額自己負担)だったそうですが、同じ治療でも都内の別のクリニックでは約23万円かかったという体験談もあるといいます。

レーザー治療は1回あたり3〜10万円程度の費用設定が多く、数回照射が必要な場合は合計費用が嵩む点に注意が必要です。保険適用がないぶん経済的負担は大きいですが、その代わり入院費用が不要だったり、クリニックによっては初回割引がある場合もあります。いずれにせよ事前に検査費や通院回数も含めて見積もりを確認し、無理のない計画を立てることが大切です。高額にはなりますが、自費診療でも医療費控除の対象になるケースもありますので、確定申告での控除も検討すると良いでしょう。

また、クリニック選びについては慎重に行いましょう。SNSや広告で派手に宣伝している施設よりも、耳鼻科専門医の紹介や実績のある専門クリニックに相談するのが安心です。口コミ評価も数を鵜呑みにせず、中身をよく確認することが勧められています。手術は一度で終わらせたいものですから、費用面だけでなく医師の技術や症例数も考慮して信頼できる医療機関を選ぶようにしましょう。

体験談から見る術後の経過と効果

最後に、実際に軟口蓋形成術を受けたいびき患者の体験談をもう少し紹介します。術後の経過が具体的にイメージできると、これから手術を検討する方の参考になるでしょう。

前述のアラフォー男性はブログで術後1日目から詳細にレポートしています。それによると、手術当日は全身麻酔での手術を受け、翌日から点滴による痛み止め投与と経過観察のため通院したそうです(※この方は入院ではなく外来手術だった模様)。術後しばらくは痛みで夜もよく眠れず、朝は痛み止めが切れて「地獄のよう」だったと表現しています。

水分を摂るのも困難な状態が続きましたが、術後4日目あたりからは痛みスコアが少しずつ下がり始め、1週間経つ頃にはお粥以外にも柔らかい物であれば食べられるようになりました。そして10日目に痛みが激減し、2週間後にはほぼ通常食・通常生活に戻れたとのことです。

肝心のいびきについては、術後しばらくは傷の腫れもあり大きな変化は感じなかったものの、回復するにつれて徐々に音が小さくなり、朝まで熟睡できる日が増えていったそうです。スマホアプリの記録でもいびき音が大幅減少し、術後2〜3週間で明らかな効果を実感できたと報告されています。

一方、女性の体験者はレーザー治療を受けたため入院は不要で、その日のうちに帰宅しています。局所麻酔で行うレーザー手術中は痛みはないものの、焼ける匂い(煙)が鼻を抜けるのが辛かったと述懐しています。

翌日も念のため通院して点滴などケアを受けましたが、基本的には自宅療養で乗り切ったようです。やはり術後1週間ほどは喉の激痛で固形物はほぼ食べられず、痛み止めが欠かせなかったとのこと。しかし2週間を過ぎる頃には痛みもなくなり、鼻呼吸もしやすく眠りも深くなって最高!と回復を喜んでいます。

術後すぐは「もう二度とやりたくない…」と思ったものの、結果的にはやって良かったと満足できたそうです。ただしこの女性の場合、自身のいびきは治まったものの家族の中に他にもいびきをかく者(子どもさん)がいて、想定より家族全体の睡眠環境は静かにならなかった…というオチもあったようです。とはいえ主目的である本人と配偶者の睡眠の質は大きく向上し、いびき治療の恩恵を実感している点に変わりはありません。

まとめ

軟口蓋形成術(UPPP)は、「いびきを根本から治したい」と願う方にとって有力な選択肢となり得る手術です。保険適用の範囲内で受けられるケースもありますが、多くの場合は自費診療となり費用もかかります。そのぶん確かな効果が期待でき、いびきに悩む本人はもちろん、周囲の人の睡眠環境まで改善する可能性があります。実体験者の声からは、術後の痛みやダウンタイムの大変さはあるものの、「もっと早く受ければよかった」という満足の言葉も聞かれましたnote.com。ただし、手術にはリスクや限界もあります。自身のいびきの原因をよく理解し、専門医と相談しながらメリットとデメリットを十分に検討することが大切です。いびき治療の体験談や医師監修の情報を参考に、後悔のない選択をしてください。

参考記事:

  • 約5万円でイビキ治療をして、喉ち◯こを切って縫った話note.comnote.com(note, 2025年)

  • アラフォー男性の「のどちんこ切除」術後記録ameblo.jpameblo.jp(Amebaブログ, 2024年)

  • 医師監修:いびきの外科手術に必要な費用や効果とデメリットsleep-medical.netsleep-medical.net(スリープメディカルクリニック監修コラム, 2025年)

  • 医師監修:いびきのレーザー治療の効果と副作用banno-clinic.bizbanno-clinic.biz(阪野クリニック睡眠外来コラム, 2023年)

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